Senzai
担当・Alto Sax
血液型・A
好きなアーティスト・Skatalites
今一番欲しいもの・旅費
得意なこと・良い発想
苦手なこと・早起き
好きな女性のタイプ・空気を読める人
人生について・タイミングです。
結成秘話
京都市内にある、とあるビルの会議室。そこでは数百人の男達の群れが熱気とともに渦巻いていた。演壇には三人の男が並んで座り、その対面に大勢の男達が楽器をもって座っていた。その顔ぶれは多様で、まだ高校を卒業して間もないと思われる男子から、会社をリストラされたことを妻には言えず日々同じ時間に家を出て、出勤しているフリをして近所の池でザリガニを釣っていることは疑いようがない年配までいた。一見して、その男達の傍らに楽器さえなければ、皆会社説明会といった面持ちである。しかしスーツ姿のものは一人もいない。その正面に座る三人の男の後ろには大きな幕のようなものが掛けられ、そこには 「第五回 MOVIN'ON THE GROOVE オーディション
〜平成のキャノンボールを捜せ〜」
という文字が墨のようなものでデカデカと書かれていた。演壇に座る男はツボンヌ氏、イノウエ氏、タカダ氏である。彼らはあくまで事務的に男達のなかから一人ずつ番号とともに呼び出し、色々な質問を浴びせる。身長、体重、経歴というような基本的なことはもちろん、血液型、一日におけるアルコールの摂取量 、もし鳥になれたら何をしますか?など、こと細かく質問した。
タカダ「次、1031番センザイくん」
自分が呼ばれたことに気付き、長身の男が慌てて前に出てくる。
タカダ「えー、まず好きなアーティストは?」
緊張のためか、男はしどろもどろに答える。
センザイ「ス、スス、スカたらイツ」
審査員三人は普通だと思った。
タカダ「じゃあ、血液型は?」
センザイ「え、えエ、A型」
審査員三人は普通だと思った。
タカダ「アダレイかナット、どっちが好き?」
センザイ「え、え、え?だ、ダだ、誰ですか、それ?」
タカダ「わかった、もういいよ、それアルト・サックスでしょ?なんか吹いてみてよ」
センザイ「ふ、不、吹けるふ、フレーズありません」
一同固まる。会場全体が凍りついた状態になった。座っている男達の間から嘲笑に似た笑いが起こる。
タカダ「え!んー仕方ないか、うちのライブはどこで観たの?」
センザイ「いえ、観たことありません。」
ツボンヌ「な、なんじゃとコラー!!何しにきたんじゃー!!」
椅子を蹴り倒し、ツボンヌ氏が勢いよく立ち上がる。場内は騒然とする。慌ててタカダ氏はツボンヌ氏を抑える。
タカダ「まぁまぁ、ツボンヌ先生、ここは一つ抑えて・・・」
センザイ「いやあの・・・彼女いなかったら入れるって聞いたんで」
タカ&ツボ「な、なんじゃとコラー!誰から聞いたんじゃー!!」
場内はさらに騒然とし、事態は収拾のつかない状態へと加速していった。演壇の上ではツボンヌ氏とタカダ氏が机を蹴り、椅子を投げ、会場は文字通 り修羅場と化した。センザイは会場隅へと避難し、数人のガードマンが両氏を抑えて一段落を迎えた。
タカダ「フー、フー、取り乱してしまい、すいません。ちょっとこのままでは決めかねますね・・・どうしましょうか、イノウエくん」
イノウエ「んーー・・・、クジ引きでいいんちゃう?」
Tam-Suke
担当・Drums
血液型・B
好きなアーティスト・Manfread Mann / Lulu / 三島由紀夫 / ベスパを考えた人
今一番欲しいもの・ベスパ180SS / ソフトクリーム製造機
得意なこと・お年寄りに可愛がられること
苦手なこと・目覚まし時計などのメカもの / 全般絶叫マシン / 辛いもの / 高いとこ
好きな女性のタイプ・メガネ美人
人生について・一期は夢よ。只狂え。
結成秘話
私は「ヨシダ」という名前に縁がある。そして、「ヨシダ」という名前のもつ、その神秘的な力を信じている。 私の周りにいる無数の「ヨシダ」・・・。過去にDJとして、イベンターとして共に重苦を背負った男、ヨシダ(大阪在住)・・・。。私の親友である森田氏の親戚の姓もヨシダ(和歌山在住)・・・。。バーテンダーをしているとき一度だけ来店し、ジッと私を睨み付けていたと思うと、代金も払わずに帰っていった男の名もヨシダ
(京都在住)・・・。古本屋で私が立ち読みした直後に、私の足下の本の整理を始める店員の名札もヨシダ(新人)・・・。フラリと立ち寄ったペット・ショップで、店内のみならず、口からも不愉快な口臭を放つ店員の名もヨシダ(バツ1)・・・。私が別れた女性はすべてヨシダという男と付き合い、そして以前、ヨシダと付き合って
いる。そして今回、新たにドラマーとして加わる「ヨシダ」姓をもつ男。
上述した多くの「ヨシダ」。本人同士はつながりを否定しているが、おそらく何らかのつながりがあるはずだ。でないと説明できないことが多すぎる。そもそもの「ヨシダ」という名前の意味するもの、またそこに巧みに隠された意図性、そこから派生する単独的な類似点、唐突の世界的天災、エボラ出血熱、ユシチェンコ氏暗殺未遂、
市川海老蔵の隠し子・・・。ここまで言えば賢明な読者の諸兄にはお分かりでしょうが、まぁ、そのような細かいことは学会の発表を待つとして、話を新ドラマーに戻そ
う。
当初の我々の困難は新ドラマーを探すことにありました。現ドラマーの脱退を受け、活動休止にまで追い詰められるという事態。そんな折、私の人生経験のすべてを集結したある言葉が脳裏をよぎったのだ。
「Y・・・オ・・YO・・ス・・・ヨ・・シ・ダ・・・ヨシ・・ダ?」
そう、「ヨシダ」だ!一筋の光明が差した。後のことは何も心配なかった。「バンドメンバーを探す・ドラマー・ヨシダ」、そのように私の脳が答えを導いて以後1日、私に記憶という記憶は無かった。気がつくと、「ヨシダ」を名乗る男が、私の眼前に身体に何もまとわず立っていた。その神々しさに、私は自然と涙した。
彼にも「ヨシダ」の血脈が流れている以上、もはや何も語ることは無くなったように思われる。彼のドラムは「技術」ではない。そのすべては、「ヨシダ」なのだ。
Tommy
担当・Trumpet
血液型・B
好きなアーティスト・SLACKERS
今一番欲しいもの・レコード
得意なこと・寝ること
苦手なこと・寝不足
好きな女性のタイプ・気が強い娘
人生について・渋いオヤジになる
結成秘話
ある夜のこと。5月の初ライブに向けてメンバーを集めなくてはならないタカダ氏は、その困難のため、深夜まで寝付けずにいた。すっか濶゚ごしやすくなった時期にもかかわらず、その不安のためか寝苦しい。考えてみれば翌日の予定はない。気分転換に京都の町を散歩することにした。小一時間ほど歩いてみたが、やはり気分は晴れない。部屋にいるよりは意識が外部へと向いているのだが、なにせ今この目前の課題をクリアせずに、ステージはない。一層不安は募る。
イライラした気分のまま歩き進んでいると、向こうのほうで一軒のキャバクラから、手に硬いケースのようなものをもった酔っぱらった男が一人出てきた。フラフラと足下も覚束ない様子で、こちらに進んでくる。良い御身分だと思ってすれ違うそのとき、その男は肩をぶつけてきた。
普段なら何事も無かったかのように通り過ぎるのだが、如何せん今日は違う。振り向いたタカダ氏は怒鳴りつけた。
「おい、わかってやっとんのか!?コラ!」
しかし男も強気で返してくる。
「あ!?オレにゆーとんのか!?」
見ればこの男、眼光も鋭ければ、なかなかいい体格をしている。一瞬躊躇したが、ここで退く訳にはいかない。
「やんのかコラァ!?どこの中学や!?」
双方歩み寄る。
「やったんぞコラァァ!」
互いが互いの襟首を掴み上げたそのとき、男の持っていたケースが地面に落ち、ケースが開いた。数枚の楽譜のような紙が舞い、その下に金色に光るトランペットが見えたではないか。
それを目にしたタカダ氏は言葉を失った。
「どないすんねん!やらへんのか!?」
叫ぶ男。視線を上げたタカダ氏は声をもらした。
「おまえ・・・ペット・・や・・ってんのか・・・?
」



